タイ東北部に見るNGOと開発僧の近代

研究成果: ジャーナルへの寄稿学術誌査読

抄録

タイの上座仏教は僧侶が世俗のことに関わらないのが原則だが、近代化が進むにつれてその是非が問われ始めた。70年代頃から貧困地域で村落開発に取り組む僧侶が現れ、開発僧と呼ばれて国際的に注目されるようになっている。  開発僧は近代化にかわる開発の方法として仏教的開発を提唱するが、実はそれは単に仏教的文脈から出たものではない。例えば有機農業や森林保護の提唱はエコロジー運動に端を発し、僧侶がそれに似た思想を仏教の中に再発見して活動に取り入れたという経緯がある。また僧侶たちの孤独な試みを支えたのは近代化のオルターナティブを模索するNGOであった。つまり開発僧の運動は仏教的視点からの近代社会の批判であると同時に、上座仏教の近代化とも言えるものだったのである。
本文言語日本語
ページ(範囲)11-22
ページ数12
ジャーナル西日本宗教学雑誌
20
出版ステータス出版済み - 3月 20 1998

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