Abstract
本稿は、ミャンマーのコメ政策において、しばしば相互に対立する経済的、社会的、政治的目標に対して、政府の取りえる可能な政策オプションを探索し、社会的余剰とは異なる基準での重み付けを試みることを課題とする。複合的政策を評価する需給モデルの構築とその数量分析を行った結果、第一に、農家は、2003年以降のコメ政策改革において受益者として位置づけられているが、2008年現在の上限価格政策の下で、その努力に対する十分な便益を得られていないことを明らかにした。農家への価格インセンティブの不足は、不十分な農業投資と高度技術採用の遅れの原因となっている。第二に、複合的な政策のうち、現在の政策目標を制約条件として、選択可能な7つの政策変更シナリオを明らかにした。その中で、農家への技術支援を伴ったコメ増産政策は、政府に選択され、かつ、現行政策よりも有効となる可能性がある。ただし、農業技術向上への投資効率の高さが条件となるが、現状の低い技術投資水準の下では、これを満たす可能性も期待できる。
Original language | English |
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Pages (from-to) | 11-21 |
Number of pages | 11 |
Journal | 食農資源経済論集 |
Volume | 61 |
Issue number | 2 |
Publication status | Published - Feb 2011 |