Abstract
目的:食行動,食育の推進の観点から口腔機能の低下に着目し,地域在住軽度要介護者の口腔機能の低下と閉じこもりの指標となる外出頻度の低下に対する影響を検討することを目的とした。
方法:B県のA事業所のデイサービス利用者897人に無記名自記式質問紙をスタッフにより配布し,616人から回収した(回収率68.7%)。基本属性,閉じこもり指標,Basic ADL, 運動能力・転倒リスク指標,うつ症状等について各項目と口腔機能評価3項目(咀嚼機能低下,嚥下機能低下,口の渇きの有無)にてχ 2検定を行い,さらに閉じこもり指標の外出頻度の低下の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。
結果:対象者の平均年齢は78.6歳で,女性は約半数だった。Basic ADLは,入浴が自立しているものは72.3%,トイレでの失敗経験は52.8%にみられた。咀嚼機能の低下44.1%,嚥下機能の低下46.2%,口の渇きの出現39.5%であった。「昨年に比べて外出の頻度が減った」と回答したのは全体の52.3%と約半数にみられた。χ 2検定の結果,口腔機能が低下している群では外出の頻度が減ったと回答した割合が有意に高かった。ロジスティック回帰分析の結果では,口腔機能のうち咀嚼機能の低下がもっとも強く影響がみられた(OR=1.56,p
考察:口腔機能の低下と外出頻度の低下が関連していたことから,口腔機能の低下は栄養状態の悪化,体力低下という閉じこもりへの身体的要因であるほか,認知機能の側面から活動意欲の低下など心理的な側面からも影響を及ぼしている可能性がある。ロジスティック回帰分析の結果で口腔機能低下の中でも特に咀嚼機能の低下を防ぐことで閉じこもりを予防できる可能性があることが示されたと考えられる。
結論:地域在住高齢者において,咀嚼機能と外出頻度の低下の関連は深かった。口腔機能の低下は閉じこもりの直接的な関連要因の一つとして考慮する必要性があると考えられる。
Translated title of the contribution | 地域在住軽度要介護者の外出頻度の低下に対する口腔機能の影響の検討 |
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Original language | English |
Pages (from-to) | 232-240 |
Number of pages | 9 |
Journal | JOURNAL OF JAPAN HEALTH MEDICINE ASSOCIATION |
Volume | 26 |
Issue number | 4 |
DOIs | |
Publication status | Published - Jan 31 2018 |