Abstract
本研究の目的は,出雲地域の在宅高齢者における人生の最終段階の医療に関する意識と死生観との関連性を検討することである。
2019年1月〜3月に高齢者クラブの会員800名に自記式質問紙を配布し,550名から回答を得た(回収率68.8%)。そのうち年齢と性別に欠損のない531名を分析対象とした。結果,「死を考えることを避けている」27.1%,「死とは何かよく考える」21.5%で,死について考えることを避けてはいないが関心は低いことが示された。また6割近くが「死が怖くない」と回答しており,特に後期高齢者に多かった。生きる時間が限られているときに大切にしたいことで最も多かったのは「自分で身の回りのことができる」で,生き続けることが大変だと思う状況については「人工呼吸器など機械の助けがないと生きられない」が最も多かった。「死が怖くない」人は,生きる時間が限られているときに「仕事や社会的な役割が続けられる」ことや「家族の負担にならない」ことを大切にしていた。また延命治療は受けないことを希望し,すでに家族らと話し合っていた。一方で「死が怖い」人は,「家族や大切な人のそばにいる」ことを大切にしていた。さらに「死を考えることを避けている」人は延命治療を受けることを希望,あるいは「わからない」と回答し,家族らと話し合っていなかった。一方「死を考えることを避けていない人」は延命治療を希望し,家族らとの話し合いもすでに行われており,話し合いについても肯定的であった。以上より,死への恐怖が死を考えることを避け,延命治療に対する意思決定と家族らとの話し合いの未達に影響していると考えられた。しかし「死は恐怖でなく,回避していない」とする高齢者が多かったため,死への関心や話し合いの意識が高まることで家族らとの話し合いに至る可能性があることが示唆された。
Translated title of the contribution | Relationship between the View of Life and Death in the Elderly Living in Their Homes in the Izumo Area and the Awareness of Medical Care in the Last Stages of Life |
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Original language | Japanese |
Pages (from-to) | 288-302 |
Number of pages | 15 |
Journal | JOURNAL OF JAPAN HEALTH MEDICINE ASSOCIATION |
Volume | 29 |
Issue number | 3 |
DOIs | |
Publication status | Published - Oct 26 2020 |