Abstract
2011 年に民政移管を果たしたミャンマーの経済開発に対する関心は,日本においてもこれまでにないほど高まっている。しかしながら,軍政下で貧困問題に関する研究は限られてきたことから,その詳細な実態は未だ十分には解明されていない。本書が扱う「現代ミャンマーの貧困研究」は,時宜を得た重要な研究課題であると言えよう。 評者は,書評の執筆依頼を受けて本書を手にし,筆者の経歴を知ったが,本書は2004 年に来日した1985 年生まれのミャンマー人の著者が2011 年に熊本学園大学に提出した博士学位論文を基にしている。筆者の博士論文の指導教官であるマングマングルウィン教授が,本書の刊行によせて記したように「ミャンマーではこれまでに貧困に関する個人研究が制限されてきた」(p.i)。評者は,本書を拝読しながら,若いミャンマー人留学生が日本語を習得し,2007 年に大学院に進学して母国の貧困研究に取り組み,その成果を日本語で書籍にまとめ公表するに至るまでの熱意ある研究姿勢に好感を持った。 以下では,本書の内容を紹介した後,若干のコメントを述べることとしたい。
Original language | Japanese |
---|---|
Pages (from-to) | 91-93 |
Number of pages | 3 |
Journal | 東アジアへの視点 |
Volume | 26 |
Issue number | 1 |
DOIs | |
Publication status | Published - 2015 |